時間の流れは本当に早い。
お父さんたちの一周忌から、すでに1ヵ月が経とうとしている。
法要の当日も、あたしと那智はほとんど目を合わさなかった。
会話も事務的な内容だけ。
……あの、星がキレイだった夜から
ふたりの道は完全に分かれてしまったんだ。
あの夜。部屋に戻ったあたしが聞いたのは、壁ごしの、女の嬌声だった。
最初は悲鳴だと思い、だけどすぐ答えに気づいた。
ギシギシと何かが激しくきしむ音。
切ない声に混じる、なち、という響き。
となりの部屋で何が行われていたのか。経験がないあたしでも察しがつく。
耳をふさいでも聞こえるそれは、那智からの最後のメッセージにも思えた。
ふたりの思い出は過去のもの。
時間は進んでいるんだ――と。