気持ちの整理をつけるため。


ベタな方法だけど、部屋の大掃除をした。


いらないものは徹底的に

捨てて
捨てて
捨てて。



机の一番下の引き出しからは、なつかしいものが見つかった。

4年前の新聞だ。


夕刊の片隅に、

『孤島に現れた神童』

そんな見出しで、11歳の那智が載っている。


有名なコンクールで賞をとったときの記事。


当時、那智のルックスのせいもあってか、いろんな所から取材の申し込みがきていたんだっけ。


“神童”なんて、さすがに大げさな煽り文句。



でもあの頃の那智は、あたしにとってたしかに

絶対的な存在だった――。



あたしはその古新聞を、ゴミの束の上に重ねた。