『あいつ、ちょっと普通じゃねぇって。お前も薄々わかってんだろ?』
那智と仲のいいヒロトがそんなことを言うなんて意外だった。
「……嫌いなの?」
『いや、ツレとしてはおもしろい奴だけどさ。
でも……正直たまに怖くなる。
普通は将来に傷がつかねぇ程度に、うまく遊ぶじゃん?
なのにあいつはそういうの、考えてないように見えるっつーか』
そこまで話してヒロトは「いや、ちょっと違うな」と言った。
『将来を考えてないんじゃなくて……
わざと自分の未来、ムチャクチャにしたがってるように見えるんだ』
「……」
何も言い返せなかった。
それはたぶんヒロトの意見に、少なからず共感してしまったから。
でもなぜそこまで那智が自分を追い詰めるのか、あたしにはわからない。