「はい、おまたせ。藍ちゃん」
梅ジュースを注いだグラスが、テーブルに置かれた。
一口も飲まずに立ち去ろうとするあたしを、
「ちょっといいか?」
お父さんが呼び止める。
「……何」
「来週からお父さん、2週間の出張に行ってくるんだ」
「そう」
ふいに、お父さんの瞳が強くなり、嫌な予感がした。
「藍。お父さんが出張から帰ってきたら、今後のことを4人できっちり話し合おう。
それまでに藍も、気持ちを整理しといてくれるか?」
「……」
カウントダウンが始まる。
あたしの気持ちなんて
最初からまるで無視で。