あたしと一緒に足を止めた那智。
その視線は、駐車場の方に向いている。
つられてあたしも同じ方を見ると、ぼんやりと人影が遠くに見えた。
……じっと目をこらす。
一見、ひとりの人影に見えたけど、違った。
男女が抱き合っているんだ。
暗がりだから顔はよく見えない。
でも、女の人のすらっとしたシルエットには、見覚えがあった。
何よりも那智の真剣な視線が、その事実を物語っていた。
「あれって……もしかして、那智のお姉さん?」
言い終わるか否かのうちに、強く手を引っぱられた。
「えっ、那智……?」
突然のことに戸惑うあたし。
無言であたしを連れながら、那智が向かったのはアパートだった。