『那智がK高のヤツとモメやがった……。俺らがたまたま見つけてすぐに逃げたんだけど、そいつの仲間が追ってきて――』
K高。つまり相手は高校生だ。
聞いた瞬間に血の気が引いた。
「那智は大丈夫なの!?」
あたしは狂ったように問い詰めた。
『落ち着け、大丈夫。あっちも少人数だったから、やられてねー』
安堵のため息をついたのも束の間、『でも……』と声が続く。
「……何?」
『那智の様子がおかしいんだ。止めてもきかねーんだよ。
今は俺らで抑えてるけど、いつまた爆発してもおかしくねー状態』
再び、血の気が引いた。
騒ぎが大きくなったら、まずいことになる。
あたしは電話を切り、すぐに家を飛び出した。