セックスのあと那智は、いつまでもベッドの中であたしを抱きしめてくれていた。


あたしから那智の顔は見えなかったけど、きっと彼が眠っていないということは本能でわかった。



あのとき、那智は何を考えていたんだろう。


どうかほんの少しでも、あたしの肌や匂いが那智の記憶に刻まれますように。


そう願いながら、あたしは眠ったふりをしていたんだ。




「那智……」



もう一度つぶやいたとき、携帯がけたたましく鳴った。



“着信:ヒロト”



那智と仲がいい男子の名前だ。


さっきまで那智とのセックスを思い出していたあたしは、なんだか妙に恥ずかしい気持ちになりながら電話に出る。



「はい――」


『メグ、ちょっと来てくれ』



ヒロトの切羽詰まった声に、あたしは身を固くした。