駅の方から声が響いた。



「何してんだよ!」



たった今到着した電車から降りた中学生たちが、ぞろぞろと走り寄ってくる。

どうやら仲間らしい。



「あっ、おい! そいつ、K高の制服じゃん!」


地面に伸びている男を見て、仲間の中学生が顔を青くした。



「高校生とモメたのかよ、那智」


「やべぇって、逃げるぞ」



仲間たちはケンカ相手が高校生だとわかると、まだ殴り足らなさそうな彼を引っぱりあげ、バタバタと退散していった。



嵐が去ったあとのように、急に静かになる駅前広場。



「くっそ……」


足元に倒れていた高校生の男が、うめき声をあげた。


自力で体を起こし、携帯でどこかに電話をし始めるところを見ると、病院に行くほどのケガはなかったようだ。