なるほど。さっきの駐輪場のケンカはこいつらだったのか。
合点がいく俺の目の前で、彼は倒れた男の上に馬乗りになり、機械のように拳を振り落とす。
「……お、おいっ!」
ぼんやり見てる場合じゃなかった。
あわてて後ろから腕をつかむと、どうにか動きは封じ込めた。
この細身なら当然だが、力はそれほど強くない。
そのくせやたらケンカ慣れしている感じなのが不気味だ。
「やめろよ。人が見てるぞ」
おせっかいとは自覚しつつ、首をつっこんで諭す俺。
彼がふり返り、顔色ひとつ変えずに視線を上げた。
冷たすぎるその目にゾクッと背筋が冷えたとき、俺の携帯のメール着信音が鳴った。
力がゆるんだ俺の手を彼はふりほどき、再び男を殴りつけようとする。
そのとき
「――那智っ!」