別に俺はホモじゃないし、美少年なんかに興味はないんだけど。
そいつの瞳が、誰かに似ているような気がして、しばらく無遠慮に見つめてしまった。
歳は俺より下だろうか。
華奢な体つきや幼さが残る顔立ちは、おそらく中学生。
だけどそれにしては、憂いのようなものが漂っている。
少年は俺に一瞥くれると、興味なさげに目をそらし歩きだした。
あっ、と小さく俺は叫んだ。
俺の視線の先、つまり彼の背後から、ひとりの男が飛びかかってきたからだ。
「危な――」
言い終わる前に、すばやく身をひるがえした彼の蹴りが、男の腹にめり込んだ。
派手に吹っ飛んで地面に倒れこむ男。
アクション映画さながらの一幕に、俺は呆気にとられてしまった。