今からそっち行くから

すぐに行くから、待ってて。



彼女のそんな言葉で、電話は切れた。



いつになく高揚した声だった。


そして、待ってて、と。

確かにそう言ってくれた。



通話終了した携帯を耳から離しながら、俺は長い長い息を吐く。


勢いでかけた電話だったけど、終わってみれば急に胸がドキドキしてきた。



俺は“すぐに行く”という言葉を胸に、自販機で買ったジュースを飲みながら、彼女の家の方角を見ていた。



だけどジュースが2本目に突入しても、彼女の姿は見えてこない。



……遅いな。

どうしたんだろう。



やきもきしていると、少し離れた駐輪場の方から、男の罵声のようなものが聞こえてきた。