「おっ、今週号じゃん」
テーブルの上に置きっぱなしにしていたマンガ雑誌に、湯川が気づいて手を伸ばした。
ページをめくると、水着姿のアイドルの写真。
マンガ雑誌とはいえ、巻頭のグラビアにも目を通すのは男子として当然のことだろう。
「前に斗馬が“姫に似てる”って言ったの、この子じゃね?」
真っ赤なビキニを着た女の子を、湯川が指さした。
「あぁ、うん。たぶん」
「たしかに似てるよなー」
と、堂々と顔をニヤつかす湯川。
さすがは自称・明るいスケベだ。
俺は湯川から雑誌を奪い、そのグラビアアイドルを改めて見た。
……なんだ。
全然似てねぇじゃん。
いや、最初に“似てる”と言い出したのは、たしかに俺なんだけど。
改めて見ると、何て言うか……
桃崎さんの方が、ずっと魅力的だ。