きっと、斗馬くんにとっては
深い意味なんかない一言だったのに
彼の言葉を聞いたとたん、唐突な痛みがあたしの胸を突き上げた。
どこまでも落ちて永遠に消えた光。
ほんの一瞬だけで終わった、幻のような光。
「……桃崎さん?」
突然泣き出したあたしに、斗馬くんが眉を寄せる。
「俺、なんか嫌なこと言った?」
ぶんぶんと首をふるあたし。
「でも――」
「違…斗馬くんの、せいじゃ……」
「……」
なぜ涙があふれるのか自分でもよくわからなくて
「あたし、帰るね……っ」
そう言って立ち上がったとき
体が、急に動かなくなった。