「なんとなくさ、前から感じてたんだ。桃崎さん、好きな男がいるんだろうなって」



……好きな男。


あたしは今も、那智のことが好きなんだろうか。


自分の気持ちなのによくわからない。


ねじれて、歪んで

正体が見えなくなった執着心。



あたしが言葉に詰まっていると、斗馬くんはそれ以上、何も聞いてこなかった。


彼はあたしの右隣に移動して、地べたにあぐらをかき、星空を見上げた。


あたしも斗馬くんと一緒に、空を見上げた。



――『桃崎さんの瞳にも、この風景が残ればいいなって』



地上の灯りに負けそうなほど、弱々しい星の光でも、

今のあたしには、まぶしい……




「……あっ」


そのとき、ふいに夜空を横切った光に、あたしと斗馬くんはそろって声を上げた。