「――…桃崎さんっ」



斗馬くんが現れたのは、「やっぱり行けなくなった。ごめんなさい」と謝罪のメールを送った、数十分後だった。


駐車場でうずくまっていたあたしは、その声に驚いて顔を上げた。



「やっと見つけた~」



顔中に安堵をにじませながら、駆け寄ってくる斗馬くん。



「……なんで、うちの場所……」


「だいたいの方向はわかってたから。あとは、勘」



斗馬くんは息を整えながら、あたしの前にスッとしゃがんだ。



「あたし……行けないって、メール送ったんだけど……」


「うん。知ってる」


「じゃあ、なんで」


「それも勘。
俺のうぬぼれかもしれねぇけど、あのメール……」


「……」


「本心では、俺に助けを求めてる気がしたから」