あたしはアパートの外に飛び出した。
携帯を耳に当てたまま。
空を、仰いだ。
「――…」
それはプラネタリウムのような
満天の輝きではないけれど
たしかにそこに存在する
穏やかな、光。
「ホントだ……」
知らなかった。
星が出ていたなんて。
見上げれば空があることを
あたしは、ずっと
忘れていたよ――…
「……斗馬くん」
『ん?』
「駅の近くにいるんだよね」
『……うん』
「あたし……
今からそっちに行くから
すぐに行くから、待ってて……っ」
――…ふたりでこの星を見たいと言ってくれた、彼と同じように
あたしも、斗馬くんと一緒に見たいって
理屈じゃなく思ったんだ。
電話を切り、突き動かされるように走り出すあたし。
だけど次の瞬間。
全身が凍りつき、あたしは立ちすくんだ。