少し間を置いて、「あ…うん」と答える斗馬くん。
『外、です』
なぜか急に敬語になる彼の声は、いつになく遠慮がちだった。
もしかして、と思った。
そして、胸がとつぜん
トクントクンと高鳴った。
「今……どこ?」
『……○○駅の近く』
このアパートから一番近い駅だ。
なんで? って、聞きたいけど、聞く勇気がない。
でも、もし聞いたなら
返ってくる答えは、たぶんひとつで……
『あのさ。今日、星がすげぇキレイなんだ』
「え?」
何をいきなり言いだすんだろう、と戸惑うあたしに、彼は優しい声で言った。
『つまり……桃崎さんと一緒に、星が見たくて来た』
「……」
『桃崎さんの瞳にも、この風景が残ればいいなって思って』