何を言い出すんだ、という様子でキョトンとする湯川くんに
あたしは強い口調でまくしたてた。
「めったにお父さん帰ってこないんでしょ? この機会を逃して、もしもう会えなくなったら、絶対に後悔するよ」
「いや……会えなくなるとか、まずありえねぇし」
「そんなのわかんないじゃん!
会えなくなってから後悔するの、すごく辛いんだよ?
バイトはあたしたちで何とかするから、湯川くんは行って」
「……」
あぜんとする湯川くん。
だけどたぶん彼よりも、あたし自身が驚いていた。
頭で考えたんじゃなく、口が勝手にしゃべっていたんだ。
ポン、と斗馬くんの手のひらが、湯川くんの肩にのる。
「俺も同感。たまには親孝行してこい」