「んー……」
斗馬くんは頭をぽりぽり掻きながら、難しい顔でしばらく考え込んだかと思うと
「ごめん、俺、おせっかいだから言わせて」
誠実そうなまなざしを、まっすぐあたしに向けた。
「桃崎さんを見てると、なんでそんなに警戒心むき出しなんだろうって、たまに思う」
「……」
「美人だから男はみんな味方してくれるだろうけど、ホントはまわりの連中、けっこう気ぃ使ってると思うよ」
正面切ってこんなこと言われるのは初めてで。
あたしはますます黙りこんでしまう。
「でもさ、今日初めて俺らといっぱいしゃべってくれたじゃん?
ちょっとは打ち解けたっぽくて嬉しかったし、湯川たちも喜んでたんだ。
たぶん、桃崎さんが思ってるより、周りの人間はイイ奴らだよ?」