「えっ!? あの店の社長って、田辺くんのお父さんなの?」
「うん。だからたまに俺ら、小遣い稼ぎでバイトさせてもらってるってわけ」
湯川くんがストローで氷を突きながら言った。
「そうだったんだ……」
少なからず衝撃を受けるあたし。
だってあの店は、県内じゃ有名な書店チェーン。
まさかその社長の息子だったとは……。
あたしは右側に座る田辺くんの顔を、チラッと見上げた。
「ん? 姫も食う?」
フライドポテトがのったお皿を差し出されたので、あたしは一本つまんで食べた。
塩がききすぎて、喉が焼けるように辛いポテト。
すぐさまジュースで口直しするあたしを、田辺くんがおもしろがる。