「……ごめん。何でもない」 「そうか」 バタン、と目の前でドアが閉まった。 再び聞こえてくる笑い声。 遠い。遠い世界。 卒業式の日に捨てた、あの絵のように もうあたしとは重なることがない、那智の世界。 ……いいかげんにしろ。 いいかげんにしろ、あたし。 那智は、弟。 弟――…