男の子の背後に、冷たい表情でたたずむ那智。


「あ……、わ、悪ぃ……」


男の子は酔いが一気に醒めたような顔になり、そそくさと脱衣所を出て行った。



重苦しい空気。

無表情の那智と、バスタオル一枚のあたし。


こんな姿を見られたことが恥ずかしくて、バツが悪くて

だけど那智はあたしを一瞥しただけで、何も言わずにドアを閉めようとする。



「待って……!」



無意識に呼びとめた。

ドア板から半分だけ見える那智と、目が合った。



「あ、あの……」



呼んだけど、別に話すべきことなんかなかったんだ。


口ごもるあたしに、那智の視線はやっぱり冷たいまま。



「あの……」


「……」