「あ…れぇ~? ……俺、まちがっちゃったぁ?」
酒臭い息が顔にかかり、鳥肌がたつ。
あたしは体に巻いたバスタオルを両手で押さえ、後ずさった。
「ごめんねぇ、俺、酔っぱらっててさ~」
あやまるくらいなら、さっさと出て行ってくれればいいのに。
男の子は相当酔っぱらっているのか、無遠慮に脱衣所に入ってくる。
「あ~、もしかして君って、那智のお姉さん?」
「あの……っ」
「やべ~。超かわいい」
ぬぅっと伸びてくる手。
「……やだっ…――」
「タカヒロ」
廊下から聞こえた声に、彼の動きがぴたりと止まった。
「便所はあっち」