とたんに真面目な顔をして本を並べだす湯川くん。

そんなお調子者っぽいところが、中学のクラスメイトの亜美に似ていると思った。



彼らみたいな人懐っこいタイプが、あたしは苦手だけど、本心では嫌いじゃないのかもしれない。

こうして分け隔てなくかまってもらえることが、本当は嬉しいのかもしれない。


……ダサいな、あたし。

完全に独りになる覚悟は、やっぱりできてないんじゃん。



一匹狼を装った下の、中途半端な自分。


他人への期待とか、寂しさとか、人恋しさとか

そんな人並みの感情は、スパッと捨ててしまいたいのに――



「あ、そうだ」



副店長がいなくなったのを見計らって、湯川くんが言った。



「今日、このあと時間ある? 歳が近いバイトのやつら誘って、姫の歓迎会しようと思うんだけど」


「……ごめん」




もう、誰も求めないと誓った。




「うち、門限が厳しいから」