「なんでここにいんの!? あっ、もしかして今日から入るバイトの子って、姫!?」
「え、あの……」
姫って何なの?
あたしのこと?
勢いに押されてタジタジしていると、湯川くんのベージュ色の髪のむこうから、ひとりの男の子が顔を出した。
「お前、テンション高すぎ。姫が引いてんだろ」
あ……。この人も同じクラスだ。
湯川くんといつも一緒にいる
たしか、田辺斗馬(タナベトウマ)くん。
「今日から働くの?」
田辺くんがあたしに尋ねた。
背が高いせいか、なんとなく人を見下したような視線。
「はい」
「そっかそっか。俺らもたまにバイトしてるんだ。ヨロシク」
「…よろしく。お願いします」