――『まだ持ってたんや。こんな絵』 すれ違う人たちの目も気にせず、あたしは飛ばされた絵を必死になって追いかけた。 ――『お前ってさぁ、俺のこと大好きやろ?』 風はあたしを翻弄するように、もう少しというところで、また遠くに飛ばしてしまう。 ――『あんたにオカンをやるから。藍は、俺にくれよ』 待って…… 那智……那智……! ――『なんで、泣くねん。俺がおるのに……』 那智、あたし やっぱり那智のこと――…!