「あ、ごめん。正式には姉弟にならなかったんだっけ」
あたしの反応からお父さんの事故のことを思い出し、申し訳なさそうにあやまる熊野くん。
「ううん……いいの。それで、那智がどうかした?」
「ほら、うちの部の相賀メグって覚えてるかな? 彼女が最近、弟さんと仲いいらしくて。よく彼女から話を聞かされるんだ」
「……そう」
他のテーブルから、イッキのかけ声があがった。
どうやら何かの罰ゲームで盛り上がっているところらしい。
「ははっ。酔っぱらいのテンションだな、ジュースなのに」
一気飲みする子を見ながら、熊野くんが苦笑する。
「卒業が嬉しくてしかたないんだろうな」
「……うん……」
無邪気にはしゃぐ彼らと、自分。
同じように未来があるなんて、とうてい思えなかった。