おうちが喫茶店を経営している子がいるらしく、パーティではそこを貸し切りにしていた。


クラスの違う子を含め、20人ほどが集まっていた。



「あれ、桃崎さん?」



名前を呼ばれてふり返ると、美術部の熊野くんだった。



「意外だなー。桃崎さんも来たんだ」



ポテトチップスの塩がついた手を払いながら、あたしの方にやってくる熊野くん。


それを見た亜美はニヤ~っと笑うと、そばを離れて他のグループに入っていった。



「ここ、座っていい?」



熊野くんがあたしの向かいの席を指差す。



「あ、うん」


「なんか最近あんまり話してなかったから、久しぶりだよね」


「そうだね」


「あ、そういえば弟さんがさ」



ふいに出たその言葉に、あたしは動揺をにじませてしまった。