式が終わると、名前も知らない男の子に声をかけられた。
2年のときから好きだったと言われ、ごめんなさい、と答えた。
校庭では卒業生たちが写真を撮り合ったりしていたけど、あたしはその輪から外れて校舎の中に入った。
まっすぐに伸びた廊下。
窓から見える中庭。
3年間、ほぼ毎日見てきたはずの光景に、何の感傷もわかない。
「あーっ。桃崎さん、やっと見つけたぁー!」
ハイテンションで亜美がこちらに走ってきた。
「ねぇ、今からみんなでパーティするんだけど、桃崎さんも行こうよ」
「あたしは……」
「他のクラスの子たちも来るんだよ? こんな風に集まれるのって今日が最後だし、ねっ?」
結局、亜美の押しに負けて参加することになってしまった。