「なぁ、藍」
あたしの首にまわされた、那智の指に力がこもる。
いっそこのまま絞め殺してほしい、なんて身勝手な願望を抱くあたしは、どこまでも救いようのない人間だと思う。
「お前は、俺だけ見とけよ」
……あたしもね、那智。
そうしていたかったんだよ。
だけど怖くてしかたがないの。
那智を欲しがる自分の気持ちが強すぎて
あたしを縛る那智の存在が大きすぎて
いつかまた、大事な人を踏みつけてしまうんじゃないかって
怖くて、怖くて。
だから――
「那…智」
首を締めつける指のせいで、かすれた声しか出なかった。
「もう……解放、して」
あたしに絡みついた
那智の鎖を、解いて。