なんだ……。関係ない話か。
あたしは額ににじんだ嫌な汗を、手の甲でぬぐった。
放課後はすぐにやってきた。
――『裏門で待ってるから』
どうせ同じ家に住んでいるのだから逃げられないのだけど、どんな顔で行けばいいのかわからない。
靴箱の前で立ち止まっていると、廊下からひとりの女子生徒が近づいてきた。
「あの……すみません。ちょっとお時間いいですか?」
「……あ…」
美術部の。
たしか、名前は――
「那智くんと同じクラスの、相賀メグっていいます。
以前、美術室で一度だけ会いましたよね」
そう、あたしが熊野くんに告白された日、那智と一緒に美術室に来ていた子だ。