集会が終わり、生徒たちがぞろぞろと教室に戻っていく。
その波に流されるように歩いていると、那智のグループと廊下で遭遇した。
立ち止まり、射るような目であたしを見つめる那智。
その視線に気づかないふりをして通り過ぎようとしたけど
那智に手をつかんで止められた。
「避けてる?」
単刀直入にたずねられ、こっちがひるんでしまう。
答えられず、逃げることもできず、手を握られたまま廊下の人ごみの中で立ち止まっていると
しだいに周囲があたしたちの異変に気付き始めた。
「那智……。周りが見てる」
近くにいる那智のグループは完全に驚いた様子だ。
他の人たちも、あたしたちが“姉弟”であることを知っているから、絶対に不審がっている。