反射的に見上げた空の、強烈な光。
弓のようにしなる木の枝。
そして、宙を切って飛び降りてきたシルエット。
非常階段から飛び降りたように
あのときも那智は、まるで翼があるみたいに翔んでみせた。
『……っ』
ザァッ、と乾いた砂の音とともに、シルエットが着地する。
光で目がくらんで、顔はよく見えない。
自分の鼓動が、にわかに速くなるのがわかった。
『それ、俺のや。触んな』
『え? あっ……』
右手の下敷きになっていたスケッチブックから、あたしはあわてて手を離す。
そのとき、濃い影があたしを覆い、
見上げるとすぐ目の前に
彼の顔があった。