「ブレーカー直ったぞ」
パチン、とスイッチの音がして、部屋が明るくなった。
あたしは閉じた日記帳をひざに置いたまま、床の上で動けなかった。
「おい」
のぞきこもうとする那智から、顔をそむける。
「……見な…で…」
「は?」
あたしの顔……見ないで。
「お前、何言うて――」
那智はあたしの肩をつかんで向き直らせると、瞬間、言葉を詰まらせた。
あたしの両目から、涙が幾筋も流れ落ちる。
唇は震え、奥歯がカチカチと鳴る。
「藍……」
見ないで。
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