急いで立ち上がろうとしたとき、膝に何かが触れた。
何だろう。押入れを探っていた拍子に、中の物が出てしまったんだろうか。
なにげなく手に取ってみると、それは分厚いノートのようなものだった。
「……日記帳?」
座ったまま懐中電灯で照らし、恐る恐るページをめくってみる。
びっしり綴られていたのは、見覚えのあるお父さんの文字。
最初の日付が3年前になっていることに気付き、あたしは目をみはった。
お父さん、こんなの書いていたんだ……。
読んじゃいけない。
那智が待ってるんだから、早く行かなきゃ。
こんなもの、見なかったことにしなきゃ――。
理性とは裏腹に、あたしの目は文字を追い始める。