ブレーカーは高い場所にあるから、那智が足を踏み外すと危険だ。

そう思い、あたしは懐中電灯を探すことにした。


たしか、お父さんたちの部屋の押し入れにあったはず。


久しぶりにあの部屋に入るのは勇気がいったけど、どうせ暗いから何も見えないし。


あたしは深く考えないようにして、お父さんの部屋の押入れを開けた。


暗くて見えづらい中、窓からのわずかな明かりをたよりに懐中電灯を探す。


……あった。


スイッチを入れると、押入れの中がぱぁっと明るくなった。


そして、見覚えのあるものが、あたしの目に飛び込んだ。



おばさんのウェディングドレスが入った箱。



あたしはとっさに目をそらし、乱暴に押入れを閉めた。


さっさとこの部屋を出よう。