「でもこれからは、藍ちゃんたちが姉弟として支え合って生きていくことを、きっとお父さんたちも望んでいるはずよ」
耐えきれず耳をふさごうとした、そのときだった。
「すみません。急いでるんで、そろそろ失礼します」
震えるあたしの肩を抱いて、那智が言った。
しっかりと“姉”を抱きしめる腕。
木下さんの瞳に一瞬、異様なものを見たような戸惑いが浮かぶ。
「藍。行こう」
「うん……」
あたしは木下さんに一礼して、那智に支えられながらその場を去った。
“もっと早く入籍していれば”
“天国で夫婦になっているわよね”
“藍ちゃんたちが姉弟として支え合って生きていくことを
きっとお父さんたちも望んでいるはずよ”