市立博物館の、プラネタリウム。
繁華街から離れたそこはガランと空いていて、やっと酸素を吸えた気がした。
「へー、こんな所あったんか」
「あたしも初めて知った」
ドーム型の投影室に入る。
円形に並んだイスに座り、背もたれに体重をあずけた。
やがて、室内に闇が落ちた。
丸い天井に映し出される満天の夜空。
夏の星座に、天の川……
見上げていると、ふわふわ宙に浮いている気分になってくる。
キレイ……。
思わずもれたため息は、無数の光に吸いこまれていった。
「こんなにたくさん星があるんだね……」
あたしも、この一部になってしまえたらいいのに。
小さくつぶやいた独りごとに、那智が「うん」とうなずく。
那智の肩に頭をのせると、そっと髪をなでてくれた。