親戚がいないお葬式には、近所の人やお父さんの会社の人たちが来てくれた。
しばらくはバタバタと忙しく、あっという間に月日が過ぎた。
そして四十九日の法要がすむ頃。
ツクツクボウシの鳴き声が大きくなり、今年の夏が終わろうとしていた。
「起きてたんか?」
窓を開けてまだ薄暗い空をながめていると、隣の部屋の窓から那智が顔を出した。
「うん。那智も早いね」
「早起きは三文の得や」
「ジジくさ」
「黙れ」
……今までと同じようなやり取りなのに。
どこかぎこちなさがつきまとう。
お父さんたちが死んだ日から、ずっとだ。