自分たちが望んだことなんだ。
「桃崎さん!」
10日間ぶりに登校すると、亜美があたしを見つけて駆け寄って来た。
教室中が不自然に静まり返り、まわりが聞き耳を立てているのがわかった。
「ずっと学校来ないから心配してたんだよ」
「うん……ごめんね」
あたしは口元だけで静かに微笑み、カバンを机に置いた。
教室のほこりっぽい匂い。
カーテンにうつる光の波。
戻ってきた日常に、目まいがする。
「桃崎さん……その、何て言っていいのかわからないけど……」
大変だったね。
そう小さくつぶやいた亜美に、あたしは首を横にふった。