那智の手も赤く汚れるのを見ながら、あたしはその場に崩れ落ちた。 肩が大きく上下に動き、床がぐらぐらと揺れて見える。 抱きしめてくれる那智の腕を、引きちぎりそうな力でつかんだ。 「那智……」 「うん」 「那智……っ」 「……うん」 那智しか、いらないのに。 他は何も、いらないのに。 ……消えちゃえ。 消えちゃえ。 消えちゃえ。 お父さんもおばさんも この世界から消えてしまえ。 お父さんたちなんか 死んじゃえ……!