「ほら、あたし強いし。……全然余裕だった」
「……そうか」
那智さえいれば。
那智さえいれば。
そうだよね?
あたしたちは、まちがってないんだよね?
「……ごめん。あたし、ちょっと眠くなってきたから寝るね」
「ん、あぁ」
「おやすみ。那智」
「……おやすみ」
那智の匂いがするベッドで眠りながら、あたしは夢を見た。
夢の中の世界では、あたしたちはふたりだけだった。
他に何もない。誰もいない。
とても幸福で、孤独な世界だった。
目を覚ますと、紺色のカーテンの隙間から昼間の太陽が見えた。
今日は久しぶりに晴天らしい。
那智は机に突っ伏して、寝息をたてている。