「……違います」



警官は解せない顔をしつつ、


「まぁいい。とにかく座って」


と、イスを指さした。



那智のとなりに腰を下ろすと、警官がいろいろ聞いてきた。


住所、電話番号、学校名。

那智と同じ答えをしている自分に、唇が震える。



「あ、もしもし。夜分にすみません――」



もうひとりの警官が、受話器をあげて話し始めた。


こんな夜中なのに、連絡ついたんだ……。





――『自分がまだ中学生だってわかってるのか?』



――『あたしは…あんたたちなんか必要ないっ!』





大丈夫……
あたしは間違ってない。


那智さえいれば生きていける。


あたしたちには、それができる。



間違ってない……。