立ち上がった那智を見て、警官ふたりが表情を変える。



「この男の子は?」


「駅前にひとりでいたから、さっき連れてきたんです」



彼らのやり取りを聞いてあたしは理解した。


那智も……保護されたんだ。



「那智……」



髪も服も、あんなに濡れて。

それはあたしを探してくれていたという証拠で。



……なのにこんなところで、再会するなんて。




「あ、君。保護者を呼ぶから、連絡先を教えてくれるかな?」



冷静な声で聞かれ、あたしは一瞬躊躇した。

でもこの状況じゃ仕方ない。

観念して、家の電話番号を教える。



「あれ? 君たち、姉弟?」



那智と同じ番号だと気づいた、もうひとりの警官が口をはさんだ。