那智は今、何をしてるんだろう。


あたしが家を飛び出したこと、さすがにもう知っただろうか。



そしたらきっと今頃、あたしを心配して探してくれてる。


きっと、あたしを見つけ出してくれる。



大丈夫。だって、あたしと那智だから……。




「さむ……」



濡れた制服が体温を奪い、あたしは身震いした。

ベンチの上で体を縮めて寝転がり、むりやり目をつむった。



那智。那智。


早く来て……。


寒くて、心細くて、怖いよ。


早くあたしを見つけて……。






「――…い」



名前を呼ばれた気がして、目を開けた。


いつの間にか眠っていたらしく、どのくらいの時間が経ったのかわからない。



「那智?」