あの島で出逢ったときは、こんなことになるなんて思ってなかった。


無邪気に惹かれ合って、ぶつけ合って、輝いて――…。



溢れそうになる思い出を、あたしは小さくかぶりを振って止める。



棚から紙パックのお茶とおにぎりを素早く取り、ポケットに入れた。


……ごめんなさい。

心の中で何度も店員さんにあやまって、コンビニを出た。





数十分後、あたしは海にいた。


那智とこないだ一緒に来た海。

ここなら屋根付きのベンチがあるから、一晩くらい何とかなると思った。


あたりは真っ暗で、道路の方からわずかに灯りがあるだけ。


目の前の海は黒いかたまりにしか見えず、バシャバシャとうるさい雨音に包まれていると、このまま海に飲み込まれそうな気がした。