「――やめなさい、藍!」
おばさんに掴みかかろうとしたところを、部屋に飛び込んできたお父さんに止められた。
暴れるあたしの肘が当たり、お父さんが苦しそうに顔をしかめる。
「なんで…っ、あんたみたいな女がこの家にいんのよ!」
「藍っ」
あたしはおばさんの胸ぐらをつかみ、乱暴にゆすった。
「出てってよ!! 今すぐ――」
「藍!! いいかげんにしろ!」
パァン! と高い音が響いた。
燃えるような痛みを頬に覚え、あたしは体の側面を床にぶつけた。
「……」
目の前がチカチカする。
お父さんは罪悪感をにじませながらも、それを振り切るように唇を噛み、おばさんの肩に手をそえた。