「それ……」
箱からちらりと見えたものに、あたしは愕然とした。
幾重にも重なった繊細なレース。
まぶしいほどの
純白の――
「……ウェディング…ドレス…?」
「ち、違うの、藍ちゃん」
言い訳するおばさんを押しのけ、あたしは箱を奪って中を確認した。
そこにあったのはまぎれもなく、純白の花嫁衣装。
「……」
ふつふつと沸き上がる怒りで、目の前が赤黒く染まる。
「……だましたの?」
「藍ちゃ……」
「理解したふりして…あたしたちを油断させといて……陰でこんなもの用意してたの!?」
……信じかけてたのに。
もしかしたら、あたしたちの気持ちをわかってくれたのかもしれないって、思い始めていたのに――
「なんで……っ!!」