「聞かせてほしいんだ……。
お前と那智くんが、いつから想い合っていたのか。
お父さんたちはちっとも気づいてやれなかったから、今さらだけど教えてほしい」
「……」
隣に座った那智が、あたしの手を握る。
あたしも強く握り返した。
「最初からだよ」
お父さんに伝わるように。
おばさんに伝わるように。
そして那智に伝わるように。あたしは迷いのない口調で言った。
「出逢ったときから那智が好きだった。那智だけがずっと、あたしの一番だった。
お父さんとおばさんは昔、親に反対されて別れたんでしょう?
でもあたしたちは、そんな中途半端な気持ちじゃないの」
「……そうか」
顔は見えなかったけど、お父さんが寂しそうに微笑んだ気がした