「まだ14歳なんだぞ? ひとりで何ができる? 現実の厳しさを知らないから、そうやって傲慢でいられるんだ」
那智は背もたれにだらしなく体重をあずけ、小首をかしげて先生を見上げる。
その挑発的な態度に、先生の眉間のしわが深くなった。
「神木……わかるか?
むやみに世間を怖がれとは言わない。
だが、自分を過信するな」
「……」
「とりあえず、親御さんに電話してくる。桃崎も座って待ってなさい」
そう言い残し、先生は部屋から出て行った。
あたしは那智のとなりに黙って腰をおろした。
「顔、まだ青いな」
ふいにつぶやいた那智が、あたしの頬に手を伸ばす。
あたしは一瞬、体に力が入ったけれど、さっきのように振り払うことはしなかった。